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津地方裁判所 昭和60年(わ)135号 判決 1985年10月15日

本籍

三重県度会郡小俣町七九六六番地

住居

右同所

ゲーム機リース業

辻井廣美

昭和二〇年一月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官安達敏男出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一五〇〇万円に処する。

被告人において、右罰金を完納しえないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

被告人に対し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、三重県度会郡小俣町七九六六番地において、ゲーム機リース業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、リース収入の一部を除外し、他人名義で定期預金をするなどの方法により所得の一部を秘匿した上、昭和五八年度分の実際の所得金額が一億一七三四万八〇六二円で、これに対する所得税額が七二五五万二五〇〇円であるにもかかわらず、昭和五九年三月一五日同県伊勢市岩淵一丁目二番二四号所在の伊勢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、六八四万八〇〇円で、これに対する所得税額が一〇九万一四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同年度分の正規の所得税額と右申告税額との差額七一四六万一一〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一二通)

一  鈴木光紀の検察官に対する供述調書

一  鈴木光紀の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)

一  大西真紀の検察官に対する供述調書

一  大西真紀の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書及び脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(一七通)及び査察官報告書

一  伊勢税務署長作成の昭和五九一一月一四日付証明書(検甲29、32、33)

(法令の適用)

被告人の判示所為は所得税法二三八条に該当するので、所定の懲役と罰金とを併科することとし、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 櫻林三郎)

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